引出物を贈ることは日本では常識ですが、欧米にはその習わしがありません。国際結婚をする場合や、結婚式で外国人を招待する場合には注意しましょう。それでは、日本のご祝儀・引出物文化についてと、欧米ではどのようなお祝い事情があるのかについて見ていきましょう。
結婚式の引出物は日本独自の文化
日本ではゲストが新郎新婦に、結婚のお祝いとして結婚式の受付で3~10万円ほどの「ご祝儀」を渡すのが常識となっています。新郎新婦はご祝儀のお返しや、結婚式に参加してもらったことのお礼として、もらったお金の半分ほどの金額で「引出物」をお返しするのも礼儀やマナーとして浸透しています。しかし欧米では、そもそも結婚式に現金を包んで持っていく、ご祝儀の文化がありません。そのため、ご祝儀のお返しに当たる「引出物」の文化もないのです。
欧米流の「ご祝儀」とは?
欧米ではご祝儀や引出物の文化はないとお伝えしました。しかし、ご祝儀に似た習慣はあります。欧米では、ご祝儀を渡す代わりに贈り物をするのが一般的です。新郎新婦は、あらかじめゲストに「ウィッシュリスト」を伝えておきます。「ウィッシュリスト」とは、アメリカでは「ウェディングレジストリ」、フランスでは「リスト・ド・マリアージュ」、イギリスでは「ウェディングリスト」などと呼ばれるもので、新郎新婦が欲しいものをリストアップしたものです。ゲストはそのウィッシュリストの中から選んで贈り物をします。この方法なら、ゲストは贈り物を選ぶ心的負担が少なく、新郎新婦は欲しいものがもらえるので、どちらにもメリットがあります。日本にはない合理的な方法です。ほかにも、物ではなく、新婚旅行などで必要な経費としてギフトカードや小切手を贈ることも増えています。一口いくらと決められていて、相手への気持ちで2口、3口など贈るものです。贈り物の相場は100~150ドル(約11,000~17,000円)ほどと、日本のご祝儀よりも低い金額となっています。
最近の「ウィッシュリスト」は?
「新郎新婦が欲しいものをもらえるのは合理的な文化だと思うけれど、贈り物がかぶってしまうのではないか」という不安もあることでしょう。その不安を解消するべく、最近ではweb上で「ウィッシュリスト」を公開できる仕組みになっています。誰かが選んだ贈り物を、ゲストも把握することができるので、かぶることはありません。また、ほかのゲストと分割で支払うこともできます。たとえば800ドルの商品の100ドル分だけ支払うというものです。そのため、高価なものだけが残る心配もありません。
欧米流の「引出物」とは?
欧米では、ご祝儀に代えて贈り物をするとお伝えしました。日本ではご祝儀のお返しや、結婚式に参列してもらったことのお礼として新郎新婦が引出物を贈るとされていますが、欧米ではお返しをしません。ただ、欧米にも結婚式に参加してもらったことへの感謝を伝える文化はあります。その感謝を伝える役割をしているのが、プチギフトです。
欧米では引出物のようなお返しをしない分、お祝いの価格相場も低いものとなっているようです。国際結婚をする場合や、外国人を結婚式に招待する場合には文化の違いに注意しましょう。