結婚式のゲストに持ち帰ってもらうお土産として、引出物と一緒に渡すお菓子のことを「引き菓子」と呼びますが、その言葉の由来はどこにあるのでしょうか。日本の伝統文化、「引き菓子」の言葉の由来を探ってみましょう。
引き菓子という言葉のルーツは平安時代
引き菓子とは結婚式の際に引出物に添えて贈るお菓子のことを呼び、今では結婚式に欠かせないものとなっています。引き菓子の歴史を紐解くと、そのルーツは引出物にあるようです。
そもそも引出物とは本来、結婚式に限らず、宴の際に招いた客人へ贈るお土産のことを指していました。招待客へのおもてなしとして贈り物をする風習が生まれた平安時代には、馬を庭に“引き出し”て贈り物としていたことから、この贈り物を「引出物」と呼ぶようになります。その後、引出物は馬ではなく武器や織物、金品などになり、これにこんぶや鯛などの海産物、当時貴重だった甘いお菓子を添えて贈るように変化していきました。これが引き菓子の始まりだとされています。
引き菓子の“引き”はどこからきた?
時代の流れによって馬を引き出して贈る風習そのものは廃れていったものの、引出物や、それに添えて海産物やお菓子を贈る文化は後の時代にも引き継がれていきました。このような海産物やお菓子は引出物に添えて贈られることから「引く」という言葉を受け継いで、それぞれ「引肴(ひきざかな)」、「引き菓子」と呼ばれるようになりました。
“引き”には「おすそ分け」の意味も
引き菓子に使われている「引く」という言葉には「配る」、あるいは「贈る」といった意味もあり、引き菓子は、相手の幸せや繁栄を願って福をおすそ分けする贈り物だとされていました。馬を贈る風習が廃れても、「引出物」や「引き菓子」という言葉が残っているのは、そういった縁起を大切にする文化が根づいているからかもしれません。
引き菓子の言葉には縁起も込められている!
「引く」という言葉にはほかにも、「長引く」のように「続く」ことを表す意味があります。そのため、引き菓子には、「夫婦の縁がこの先も永く続いていくように」という縁起のよい意味も含まれています。
引き菓子には、結婚式に参加できなかったご家族へのお土産として、ゲストに持ち帰ってもらうための贈り物という意味があります。現在では引き菓子にもさまざまなバリエーションがあるので、新郎新婦らしい引き菓子を選んでみてはいかがでしょうか。